性暴力の後遺症10~「“女性”が苦手」という症状~

男性から性暴力被害に遭った女性の中に、男性に恐怖や嫌悪感や苦手意識を持つ方がいることは、想像に難くないし、理解も得やすいであろう。
上記のような症状は、このような被害に対する反応としてごく一般的なものであると、支援職にも一般人の中で関心を持つ者にも、理解されていると思う。

しかし私は、被害後、男性よりもむしろ女性の方が苦手になった。
適齢期にある女性への生理的嫌悪感、それらの女性への回避症状は、今も持ち続けている。
今適齢期にある私は、このトラウマ反応により、非常に生きづらさを感じている。


妊婦、乳幼児連れの女性に出会えば、道を避けてしまうし、電車の優先席の“妊婦マーク”、“子連れマーク”からも目を反らしてしまう。
友人達と会うことを今は受け付けられず、何かと言い訳をして避けている。

当然、彼女達にはなんの罪もない。
そんなことは百も承知なのだが、それでもどうしても生理的に受け付けられない。

さて、私は、自分の被害後、性暴力被害者の手記、支援者向けの犯罪被害の本、PTSD・トラウマに関する書籍を20~30冊は読んできた。
しかし、その中に「男性から性暴力を受けた女性が女性を苦手になることもある」などという記載を目にしたことはない。

そういった反応を示す被害者がゼロだとは思わないが、彼女達はその反応について、口をつぐまざるを得ない社会なのだろうし、それゆえ支援者がその反応の存在を知るよしもなく、まして一般人には想像が及ぶところではないのであろう。

性暴力被害者のトラウマ反応はいくつもあり、それらはそれなりに周知されつつあると思うが、この一点について、全く触れられることも、論じられることもないのはなぜであろうか?
私はその理由を、「社会」、「被害者」、「支援者」の三点から、こう考えた。

[社会]:
・妊娠・出産は喜ぶべきもの、幸せなことであり、嫌悪するなんて言語道断という風潮。
・性暴力被害女性は「男性が苦手になるものだ」という思い込み。

[被害者]:
・自分にとって、仲間・味方であるはずの友人・知人の“幸せ”を喜べない自分への罪悪感。
・同性を苦手と認めることで生じる生きづらさの回避。
・これは自分一人だけが感じている異常な反応だという思い込み。
・それゆえ誰にも言えず一人で抱え込む現状

[支援者]:
・社会と同じく“被害者神話”に染まっていること。
・届かない被害者の声に想像が及ばないこと。

社会、被害者、支援者のすべてが思い込みを重ねることで、このトラウマ反応は“存在しないもの”とされているように思う。
しかし、誰も口に出来ないだけで、この反応は“確かに存在している”と私は感じる。

こうした思い込みが、被害者をより苦しめているように私は思う。
なので声を大にして言いたい。

「男性からの性暴力被害によって、女性を苦手と感じる被害者もいるのだ」と。
そしてそれは「異常な出来事に対する正常な反応のひとつである」ということを。

この記事ができるだけ多くの人に、特に支援に携わる人、被害に苦しむ人に届くことを切に願う。
転載・引用していただければ大変ありがたいし、同じような生きづらさを感じている仲間からの声もいただければ大変心強く思う。
もちろんネット上で他人任せにするだけでなく、面識ある支援者に、この事実を伝え、理解してもらえるよう勤め、その存在が広く認められるよう努力していく。

共感・協力していただける方がいれば大変感謝致します。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

テーマ : 日記
ジャンル : 心と身体

コメント

いつも読んでいます

こんにちは。

いつもこのブログを読んで、少しだけ、勇気がでたり、生き延びなきゃと前向きな気持ちになります。

またよかったら、症状&反応シリーズ、後遺症シリーズの更新を待っています。
他の被害者の方と接点をもつ機会のない私にとって、
あ、自分だけに起きていることじゃないんだ、同じ症状で苦しんででも頑張っている人がいるんだ、と一人じゃないような気持ちになれます。

勝手を言って、すみません。
でも、このブログに感謝をしています。

Re: いつも読んでいます

>たなばた様

こんにちは。
ご返信遅くなりまして大変申し訳ありません。

ブログご覧になっていただけて大変うれしく思います。
コメントいただけてとても感謝しております。

文章を書くのが苦手なので、なかなか思っていることを
きちんと記事にまとめることができず、
伝えたいことはたくさんあるのですが、
更新が滞ってしまい申し訳ありません。

症状&反応シリーズ、後遺症シリーズも
更新を続けて行くつもりですので、
少々お時間かかってしまうかもしれませんが、
またご覧になっていただければ幸いです。

コメントありがとうございます。
辛い中生き延びてくれてありがとうございます!!

No title

こんばんは。
私も、読んでいて「今のこの私の葛藤は、私だけに起こってることじゃないんだ…!」とこちらのブログに励みを頂いています。
被害自体もだけど、無力感と孤立感と沈黙感がしんどくて、不意にグイッとこみ上げてきて。そんな時に、こちらのブロクを読んでいます。
いつも励みを頂いています。
本当にありがとうございます。

No title

こんにちは。たまにしか読めないのですが、
読ませていただくたびに、今の自分にとって心の支えになるような記事に巡り逢えます。
ありがとうございます。

私も恋愛や男女交際、結婚などの男女が関わる話に対して大きな拒絶反応がでます。
女友達としか過ごせないので、そういう話も出てくるのですが、そのたびに生理的嫌悪や吐き気やめまいなどに襲われていました。(今ではだいぶ耐えられるようになりましたが・・・)

やはり、支援者、被害者共に固定概念はありますね。
福祉職を目指す人であっても、生じている問題です。
被害者支援者共に、固定概念にとらわれない、
その人個人だけを見つめた支援方法や関わり方を身につけていく必要があるのではないかと思いました。

とても勉強になり、私自身心の支えや自己覚知にもつながります。
今後とも、このような機会を設けていただけましたら幸いです。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

私も、むしろ女性の方が苦手になりました。
男性不信にならなかったどころか、男性に対しては苦手感は全く無いんです。

肩身が狭くて「私はむしろ女性不信になりました」とは、なかなか言えずにいます。

私の場合は、女性加害者による性暴力被害の体験が大きく影響しているのだと思います。
女性加害者もいるのだという事を当時は知らなかったという事もあって、なんていうか、完全に不意討ちで混乱しました。

おかげで、女性の方がよほど怖いと思ってしまう私です。

>幸代さん

こんばんは!
個人運営の小さいブログですが、
それでも幸代さんのように、
励みにしてくれる方がいると思うと、
私も頑張ろうと思えます(^-^)/

平常時なら出来たはずの抵抗ができなかった自分、
(それは一つの強姦神話で、抵抗なんて出来るはずなくて
当然と後から知りますが)
他のことなら理解して親しくしてくれた人からの嫌悪・回避・憐み、
いろんなことで自分を責めたり
虚しくなったりしていた時期もあります。

被害は100人いれば100通りで、
感じ方もそれぞれに違うところも多々あると思いますが、
共通項もたくさんあると思います。
皆さんのコメントに私も元気や勇気をいただいています。
こちらこそどうもありがとうございます(*^o^*)

>ヒロさん

こんにちは。
このブログをそのような見方で見ていただけて、
大変嬉しく思います。

私は未だに友人の結婚式には参列できず、
電報を打つことすらできません。
今適齢期なので、同世代女性の話題はもっぱら、
恋愛、結婚、妊娠、出産、育児ですね。

福祉職を目指す方の中にも、性暴力被害者支援に
力を入れたい人ってはまだまだ少ないと思います。

固定観念にとらわれることで被害者が自分を苦しめることは
できればしないでほしいいなぁと思いますが、
一時的な回避・麻痺状態で極限状態を生き抜くために、
固定観念に染まることしかできないときもあるかな~って思います。
いずれは皆が自分を信じて歩き出せればいいなと思うのですが。

今後もぼちぼち更新は続けて行く予定なので、よろしくお願い致します☆

>鍵コメさま

コメントありがとうございます♪

お節介な人、いますよね。
私は元々人からあれこれ言われるのは嫌いなので、
耐えられなくて拒絶してしまいました。

本当に、強姦神話、2次被害ってどうしてなくならないのでしょうね。
二次被害に遭うたびに、加害者がどんどん増えて行くような錯覚に陥り、
結果人間、社会、世の中を信じられなくなっていた時期もあります。

そして、被害者がどんな形であろうとも、
声をあげて心情を世間に伝えることは、
私もとても大事なことだと思います。

被害は、乗り越えるとか、立ち直るとか、回復するとか、
そういう分かりやすくて綺麗な日本語で示せるものでなくて、
私にとっては、一緒に生きて行くものかなという感じです。

ブログはいついらしていただいても全然かまいません(*^o^*)
ただコメントの見落としや返信の遅れがあることはときどき・・・。

stargloryさま

被害のあり方は100人100様で、
被害後の価値観もそれぞれに違っていておかしくないと思います。

女性も加害者になりうることは、その被害当事者以外ならば、
本当に性暴力被害について真剣に勉強し、
臨床の場を何百、何千とみてきた支援者ぐらいしか、
まだいないのではないかと思います。

早く世の中に理解が広まるといいですよね。

No title

記事を読み返していて励みをもらいました。
恋愛話が、苦痛なんです
でも私だけじゃないということが、励みです
ありがとうございます

Re: No title

>幸代さま
返信遅れまして申し訳ありません
性暴力被害者で恋愛話が苦手になる人は他にもいると思います。まだまだ性暴力被害に関する情報はなかなか公になりませんが、被害者が、「私だけかもしれない」「私がおかしいのかもしれない」と感じてしまうことの多くは、他の被害者も感じていることが多いと思います。
こちらこそコメントありがとうございます(*^^*)

私だけじゃない

すごく共感し、心が楽になりました。

私も被害後1年してから引きこもり、人と会えなくなり、社会経験が少ないのを理由に友人と会うのが苦痛になっていましたが、実際は汚くなってしまった自分を見られるのが嫌とか、私にはできない経験をしている友人にあうと精神的に辛くなってしまうからだと思いました。
もう30にもなるのに、疎遠になってしまったのもあり、友人の結婚式に参加したことがありません。
同世代の女の方と話すのは本当に苦痛です。私にはこない経験をしているんじゃないかと思って苛立ちが半端ないです。

私も自分が楽になるために、もう少し周りに話したいなと思うようになりました。

2次被害の言葉も何度も言われましたが、それ以上に性被害にあってなかったら、もう少しましな生活を送ってたんじゃないかという悔しさから、発信する事で楽になりたいと思いました。

いろいろと勇気をありがとうございます。

Re: 私だけじゃない

コメントありがとうございます。

被害者でも感じ方は色々ですから、
被害による反応や症状は人それぞれであることがもっと知られるといいと思います。
今はまだステレオタイプに当てはめてみる人の方が多いかなと思います。
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